WEBサイト制作者のためのHCD(人間中心設計)の理解 in 名古屋
に、4月から月1回づつの計5回に渡って参加してきました。
この5回の前にも2回参加させていただく機会(1回目,2回目)があったのですが、
今回の勉強会は、HCDの循環プロセスの中から以下の5つのプロセスを学びます。
- 4/17 第1回 HCD(人間中心設計)への理解[講義とワークショップ(オブザベーション)]
- 5/08 第2回 フィールドワークとフォトカードソート[フィールドワークとその分析]
- 6/12 第3回 HCDプロセスの最終段階である「ユーザー評価」[既存サイトの評価]
- 7/17 第4回 ペルソナ/シナリオ法[ ペルソナ/シナリオ法の理解とサイト企画ワークショップ]
- 8/21 第5回 プロトタイピング[第4回で企画したサイトのペーパープロトタイピング等]
既にかなーり記憶が遠ざかっておりますが、無謀にもまとめてレポートです。
講師は、前2回と同じく、浅野智先生。
主催は、モンキーワークス株式会社。
第1回 講義とオブザベーション
講義
第1回目は、まず講義です。
前回、前々回とも被ってる内容もあるので、復習がてら聞けました。
今回の全5回の内容の1回1回は、HCDの循環プロセスの中から行います。
循環プロセスを、並べるとこんな感じ。
- ユーザ調査(利用の状況の把握と明示)
- フィールドワーク
- オブザベーション
- インタビュー
- ユーザ情報の視覚化(ユーザと組織の要求事項の明示)
- カードソート
- ペルソナ/シナリオ法
- 情報のモデル化(設計による解決案の作成)
- プロトタイピング
- アクティングアウト
- ユーザ評価(要求事項に対する設計の評価)
- インスペクション評価
- プロトコル分析
- 長期観察
この中から、第1回目のワークショップはオブザベーションを行いました。
オブザベーション
ワークショップのお題はこうです。
あなたは現在利き腕を負傷していて、反対側の手しか使えません。
その不自由な手だけを使ってバンドエイドを傷口に貼って下さい。
ワークショップは今後の回も含め全てですが、毎回とにかく時間がありません。
ちゃんと頭で理解もしていない中で手探りでもとりあえず作業を進めないといけないという、S的なワークショップが毎回続きました。
今回のオブザベーションとは、実際にやっている人を観察する事。
観察結果から、(今回の場合は)バンドエイドの問題点を見つけ、新しい商品開発につなげよう というもの。
実際に観察後、ブレストで問題点を洗い出していくわけですが、想像だけでは日頃発想し得ないような発見がありました。
第2回 フィールドワークとフォトカードソート
フィールドワーク
第2回目は、まずは外です。栄のテレビ塔下に集合。
各班に別れてこのお題です。
- 皆さんは「名古屋市観光案内のサイト」を制作中です。
- サイトのペルソナは、何度か名古屋を訪れたことのあるリピーター。
- サイトのコンセプトは「リピーター観光客が、名古屋初心者の友人を案内する場合に自慢できる観光案内」です。
- 既存の観光案内に載っていないような「名古屋名所」を斬新な視点で探してください。
この課題に関しては、事前に宿題が出ていて、各自が名古屋の新名所になりそうな斬新な名所を考えて持ち寄ってきています。
その中から選ばれた、斬新な名古屋の名所の写真(最低100枚)を撮ってきて下さいというもの。
僕はカメラ持ってくる役じゃなかったけど、カメラを持参。
「1チームにカメラマンは1人」というお達しを破って、バシバシ写真撮ってました 汗 、、、すみません。
実はこのフィールドワークでは、「半構造化=一般解」から「非構造化=特殊解」を導きだすという意図もあったとの事。
うーん、、、奥が深い、、、
そんな事も気付かず、午前中撮りまくり、
お昼を食べて、午後からの会場へ移動。
フォトカードソート
会場では、午前中に撮った写真をふまえてのワークショップ。
流れはこんな感じです。
- 準備:写真を選ぶ
- オープンソート:写真をいくつかのグループに分類する
- クローズドソート:別チームの人に実施してもらう
準備:写真を選ぶ
まず写真を30枚選びます。
似ている・ありきたりなものは排除。且つおもしろいものを選ぶ。
サクッと選べればいいんですが、200枚近く撮った写真の中からなかなか30枚には絞れません;自分らで撮ってるからどれも思い入れがあるしね。
まーでもなんとか30枚を選抜。
オープンソート:写真をいくつかのグループに分類する
次に、選んだ写真をいくつかの4〜7くらいのグループに分け、適切と思われるラベリングします。
これも意図がわからないので、探り探りわけわけしてました。
良くも悪くも主観が入りますね。
クローズドソート:別チームの人に実施してもらう
ラベリングされたラベルだけを残して、他のチームの人に30枚の写真を適切だと思われるところに並べてもらいます。
これを2〜3人にやってもらいます。
「おーこーゆー意図があったのね」
と、ここまで来るとなんとなくわかってきました。
最終的に、一番極端に違った例と比較して、なぜこのような結論に至ったのかを検証しました。
カードソートの目的
適切な分類・ラベリングが大事。
やはり、思い入れがある写真なので、主観的に分類しがちになります。
客観的に分類しないとダメってこと?
あと、ラベリングはできるだけ動詞で書く!
僕らのチームは見事に単語でした;
そして情報の分類といえば、よく出てきます「LATCH」。
- L:Location(位置)
- A:Alphabet(アルファベット)
- T:Time(時間)
- C:Category(分野)
- H:Hierarchy(階層)
情報を分類する方法はこの5つしかない。
というものですが、これも意識して実践しないときっと実感できないのだろうな。
第3回 ユーザー評価
第3回はユーザー評価です。 一旦完成したサイトを、実際にユーザーに使ってもらって使い勝手を評価します。
評価の方法には以下のような手法があります。
分類 | 評価手法 | 評価者 | 場所 | 評価できる事 | デメリット |
---|---|---|---|---|---|
インスペクション評価 | エキスパートレビュー (ヒューリスティック評価) |
評価専門家 | 会場 | (静的評価) 評価熟練者による経験値 広く浅く問題点を抽出 |
適正なチェックリストが必要 |
認知的ウォークスルー法 | 開発者 | 会場 | (動的評価) 仕様書段階から評価可 焦点が合えば奥深いところまで問題発見が可能 |
熟練が必要 | |
モニター評価 | (短期) ユーザビリティテスト (プロトコル分析) |
ノービスユーザー | 会場 | 初見での操作性が分かる 公的な使用を目的としたものに向く |
コスト高 |
(長期) 長期観察 |
エキスパートユーザー | 現地 | 熟練したユーザーの操作本来の実用価値が分かる | 時間がかかる |
下に行くほど、体験的なものになっていて、
オススメは、認知的ウォークスルー法だそうです。
この中から今回のワークショップは、ユーザビリティテスト(プロトコル分析)を行いました。
ワークショップ
ワークショップの内容としては、まずテストされるサイトがあります。
これは事前に「触り倒してきなさい」的な宿題が出されていました。
個人的には触り倒すなら別のものの方がいいのですが、今回自身らのチームに出された課題となるサイトは、
「ブラザー工業株式会社」のサイト。
今回は、ユーザーテストでサイトの問題を見つけ、改善案を導きだすのが目的です。
このサイトは後の2回の勉強会でもお世話になります。
ワークショップのタイムスケジュールは以下でした。
- タスク設定
- ユーザビリティテスト
- 書き起こし
- NE比解析
- 発表・講評
タスク設定
タスク=アクティビティシナリオといい、 目的に至るまでの物語のようなものだと理解しました。
タスクに対する答えとなるものがインタラクションシナリオといいます。
具体的に、どのボタンをクリックして〜とかゆうものですね。
アクティビティシナリオと、インタラクションシナリオがごっちゃになってしまっているチームもあったようでした。
チームとしてタスクは3つ設定しました。
ユーザビリティテスト
タスクが決まったら、ユーザビリティテストです。
ユーザビリティテストでは、2種類のユーザーにタスクを行ってもらいます。
1種類目は、チーム内のメンバーから選出された、エキスパートユーザー。
2種類目は、他のチームから借りてきた、ノービスユーザー。
エキスパートユーザーとノービスユーザーの2名分、ビデオカメラでデータを撮ります。
ユーザビリティテスト時の注意点
- 最初にタスクを声を出して読ませる(滑舌を良くする)
- モデレーターは常に会話を促す(人は集中すると無口になる)
- 被験者の質問に答えない(例:これでいい?)
- 質問には「自分で考えてください」と答える
- 最後に「終了しました」と言ってもらいテスト完了
- テスト終了後、感想をインタビューする。これが大切!
書き起こし
ビデオカメラで撮ったデータを見ながら、時間軸に沿って行動と発話を書き起こします。
当然、エキスパートユーザーの方がタスクにかかる時間が早いはずです。
NE比解析
書き起こしが終わって数値としてのデータがとれたら、そのデータを比較して、NE比を出します。
NE比は、タスク毎に、
ノービスユーザーが要した時間/エキスパートユーザーが要した時間
で求めます。
NE比が高いタスクが、問題のある箇所という事になります。
思った事
実際テストしてみて思ったのは、
一番時間のかかった箇所 = 一番問題のある箇所
にはならないんだなと言う事でした。
ノービスが大幅に時間がかかったなと思っていた箇所でも、
エキスパートも実際は時間がかかっていたりして、単純にかかった時間だけでは一概に判断できない事もある。
NE比の分析によって、問題のより深いところにも辿り着ける。
というところかな?
第4回 ペルソナ/シナリオ法
はー、やっと第4回。
ちなみに、ここ書いてる時点では9/23です、、、遅すぎ、、、orz
講義
まず講義。
大筋では、前回参加したこれと同じでした。
被る内容があるかもしれませんが、取ったメモを箇条書きします。
- ペルソナ/シナリオ法は、人間中心設計の1手法
- 100%の人を満足させるより、10%の人が100%満足するものをつくる
- ユーザーのことばかり考えてたらいいものはできない
- 随所にユーザーに参加してもらう
- 日本は高コンテキスト社会、アメリカは低コンテキスト社会
→外化して、ユーザー情報とゴールを開発者全員で共有する - ペルソナはなくとも、シナリオは無くてはならない
ワークショップ
ワークショップの題材となるサイトには、第3回と同じものを使います。
前回のユーザビリティテストで作成したタスクをもとに、まず、ペルソナを作成します。
インタビュー
ペルソナ作成には、非構造化インタビューのエスノグラフィックインタビューを行います。
非構造化インタビューの手法は以下です。
- マーケットデータから対象者のセグメントを特定する
- 初期には調査票やグルインで方向性を決める
- うちとけた会話のなかでインタビューをする(約2時間くらい)
- インタビュアーは弟子が師匠(対象者)に教えを請うように
- 徐々に小出しにしながらラポール(信頼関係)を構築
- 柔軟に進めて行く、機転・経験がいる、聞き取り名人
- 答えの強要はいけない、脱線も許容、うまく元に誘導
- 対象者が持つ主観的理論、知識の蓄えを聞き出すこと
- 対象者は自身では問題や不都合には気づいていない
- インタビューの最中に、問題の発見、仮説の創出がある
- インタビューの精度が最初と最後では異なる
今回は、課題サイトの抱える問題を見つける為に、前回のユーザビリティテスト時に設定したユーザー像を元にインタビューしました。
ただ、対象者にインタビューしているうちに、徐々にユーザーの背景が変わっていってしまいました。
なので、ユーザー像をそっちに修正。これはダメなのかな?
これを複数人行うのがいいのですが、僕らのチームは2人しかできませんでした 汗
ペルソナ作成
まずインタビューの結果から問題を導きだします。
本来であれば、複数人の結果から、平均的な結果を一人のペルソナに集約していくのがいいと思うのですが、僕らのチームは2人しかインタビューできなかったので、どっちかのインタビュー結果=ペルソナに反映するしかありませんでした、、、orz
やむを得ず、そのままペルソナに反映しました。
シナリオ作成
そしてシナリオを作成します。
シナリオは、前回のユーザビリティテスト時のタスクにもなります。
なので、アクティビティシナリオで書く必要があります。
このシナリオ部分が、前回参加したときに非現実的なものになってしまったので、浅野先生に今回はどうゆう評価をいただけるのか楽しみだったのですが、今回は時間がなかった為、総評のみの評価で終わりました。残念。
感想
ペルソナ/シナリオ法のワークショップとしては2度目だったのですが、
前回と同じく今回も、流れだけを経験したに留まってしまった気がします。
まだまだ経験が必要だなー。
第5回 プロトタイピング
最後はプロトタイピング。
通常業務では、ワイヤーフレームとして作成している部分をもっとちゃんと(?)やるイメージでしょうか?
毎度の事ですがはじめは講義
- プロトタイプは、最初の1〜2日に徹夜してつくる
- ダーティープロトタイプ
わざときたなく作る。キレイに作るとダマされる(ラフと雑は違う) - ペーパープロトタイプを使って、インタラクションのユーザーテストを行うことを、プロトタイピングという
- アクティングアウト
- アクティングアウトそのものがシナリオになっている
- 即興的な活動の中で、使用状況を確認できる
- 人と人、人とモノのネットワークが見えてくる
- アクティングアウトの種類
- 人工物の振る舞い
人工物側からの視点。なりきって演じる - ユーザ再現
オブザベーション - シミュレーション
オズの魔法使い - プレゼンテーション
人はスペックではなくコンテキストでものを考える
- 人工物の振る舞い
とりあえず羅列してみましたが、なんだかすっごく難しかったです、、、
今後理解できるんだろうか、、、
そしてワークショップ
ワークショップですが、今までで一番テンパってました;
課題となるサイトは引き続き同じもの。
プロトタイピングのワークショップなので、ペーパープロトタイプを作成します。
問題解決のシナリオに沿ったステップ毎に、ユーザーの振る舞いとページのプロトタイプを作成。
ユーザーの振る舞いが、アクティビティシナリオ。
プロトタイプが、インタラクションシナリオになります。
なぜか僕らのチームは、これがなかなかまとまらなかった。
なぜだろう?
なんかずっと僕オロオロしてました;
結局カタチになるものはできたのだけど、ちょっと消化不良。もうちょい理解したかった。
5回の講義を終えて
5回の講義を終えてちょっと経ってるので、直後の気持ちではないんですが、
全然理解してないな。
って事です。
あらためてエントリーにしてみようとして気づきます。
講義を聞き、S的なワークショップで追い込まれながら頭をフル回転させているので、身になってる気になってました。
ただ、HCD(人間中心設計)という考え方、手法がある という事を知れた・触れる事ができた というだけでも参加した意義がある気がします。
今回の講義で知った事を、
更に勉強するのか?しないのか?
活かせられるのか?活かせられないのか?
今後は自分次第だと思います。
とりあえず今は、少しずつでも、理解していきたいなとゆう事で、
「情報デザインの教室」も全然読めてないですが、中級編に参加してみよーと思っております。
そこで少しは理解がすすむかな?
先生、参加する皆様、よろしくお願いしまーす。
、、、やっと書けた、、、orz